「あれ、USBメモリが認識しない…」 「昨日まで普通に使えていたのに、大切なデータにアクセスできない!」
USBメモリは、その手軽さから仕事のファイル共有や個人のデータ保存に広く利用されていますが、ある日突然認識しなくなったり、保存していたはずのデータが見えなくなったりといったトラブルに見舞われることがあります。一瞬にして血の気が引くような、絶望的な状況かもしれません。
しかし、諦めるのはまだ早いです。USBメモリのトラブルには様々な原因があり、適切な対処法を知っていれば、失ったと思ったデータを復活させられる可能性は十分にあります。この記事では、USBメモリが認識しない、データが消えたといったトラブルの原因を症状別に特定し、ご自身で試せるデータ復活方法をステップごとに詳しく解説します。さらに、自力での復旧が難しい場合の専門業者への依頼のポイントや、トラブルを未然に防ぐための予防策まで網羅的にご紹介します。
(現在の時刻:2025年5月9日。この記事の情報は、この時点での一般的な知見に基づいています。)
まずは落ち着いて!データ復活を試みる前の重要な注意点
USBメモリにトラブルが発生した際、焦って色々な操作を試したくなる気持ちはよく分かります。しかし、誤った対処は状況をさらに悪化させ、データ復旧の可能性を著しく下げてしまうことがあります。まずは深呼吸をして、以下の注意点を必ず守ってください。
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絶対にやってはいけないNG行動
- フォーマットの実行:「フォーマットする必要があります」と表示されても、すぐに「はい」を押さないでください。 フォーマットはUSBメモリ内のデータを全て消去する操作です(一部復旧できる可能性はありますが、難易度が上がります)。
- 新規データの保存・上書き: トラブルが発生したUSBメモリに新しいデータを保存したり、既存のファイルを上書きしたりしないでください。データが完全に上書きされ、復旧が不可能になることがあります。
- 何度も抜き差しを繰り返す: 物理的な接触不良が原因の場合、改善することもありますが、基盤やコネクタ部分の損傷を悪化させるリスクもあります。無闇な抜き差しは避けましょう。
- 分解・物理的な修理の試み: 専門知識なしにUSBメモリを分解したり、物理的な修理を試みたりするのは非常に危険です。内部の繊細な部品を破損させ、専門業者でも復旧不可能な状態にしてしまう可能性があります。
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USBメモリへの通電を最小限に 認識しないUSBメモリを長時間PCに接続したままにすると、状態が悪化する可能性があります。必要な操作以外では、USBメモリをPCから取り外しておきましょう。
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焦りは禁物!冷静な状況把握が第一歩 どのような症状が出ているのか、いつからその症状が出始めたのか、直前に何か変わった操作をしなかったかなど、状況を冷静に把握することが、適切な対処法を見つけるための第一歩です。
あなたのUSBメモリはどの状態?症状別トラブルの原因特定
USBメモリのトラブルは、その症状によって原因がある程度推測できます。代表的な症状と、考えられる原因を見ていきましょう。
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パターン1:「USBデバイスが認識されません」と表示される(またはPCが全く反応しない)
- 考えられる原因:
- 接触不良: USBポートやUSBメモリのコネクタ部分の汚れ、錆、物理的な緩み。
- USBポートの問題: PC側のUSBポートの故障や電力供給不足。
- ドライバエラー: USBメモリを制御するドライバソフトウェアの不具合や破損。
- 物理的損傷の初期症状: USBメモリ内部の基板やメモリチップの軽微な損傷。
- 考えられる原因:
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パターン2:「ディスクはフォーマットされていません。今すぐフォーマットしますか?」と表示される
- 考えられる原因:
- ファイルシステムの破損(論理障害): USBメモリ内のデータ管理情報(ファイルシステム)が壊れてしまい、OSが正常に中身を読み取れない状態。これが最も多い原因の一つです。
- ウイルス感染: ウイルスによってファイルシステムが破壊されたり、データが隠されたりすることがあります。
- 不正な取り外し: PCがUSBメモリにアクセスしている最中に強制的に引き抜くなど、「安全な取り外し」を行わなかったことによるファイルシステムの破損。
- 考えられる原因:
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パターン3:USBメモリは認識するが、ファイルやフォルダが見えない・文字化けする
- 考えられる原因:
- ファイル・フォルダの破損: 特定のファイルやフォルダのデータ構造が壊れている状態。
- ウイルス感染: ファイルを隠したり、ショートカットに置き換えたり、内容を書き換えたりするウイルス。
- 隠しファイル設定: OSの設定でファイルやフォルダが隠し属性になっている。
- 考えられる原因:
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パターン4:容量が0バイトと表示される、または容量がおかしい
- 考えられる原因:
- ファイルシステムの深刻な破損: ファイルシステムが完全に壊れ、容量情報も読み取れなくなっている状態。しばしば「RAW」状態と表示されます。
- パーティション情報のエラー: USBメモリ内の区画情報(パーティション)が破損している。
- 考えられる原因:
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パターン5:USBメモリ本体の発熱、異音、異臭
- 考えられる原因:
- 重度の物理的損傷: USBメモリ内部の基板のショート、メモリチップの故障など、深刻な物理的なダメージが発生している可能性が高いです。この場合は自力での復旧はほぼ不可能です。直ちに使用を中止し、PCから取り外してください。
- 考えられる原因:
これらの症状と原因を参考に、ご自身のUSBメモリがどの状態に近いかを確認しましょう。
【ステップ1】自分でできる!初期対処法:物理的な接続チェック
データ復旧ソフトや専門的な操作を試す前に、まずは基本的な物理的な接続周りを確認しましょう。意外と簡単なことで解決する場合もあります。
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USBポートを変えてみる PCには複数のUSBポートがあります。現在接続しているポートから抜き、別のポートに接続し直してみてください。特定のポートが故障していたり、電力供給が不安定だったりする場合があります。デスクトップPCの場合は、前面ポートではなく背面のポート(マザーボード直結)を試すのも有効です。
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USBケーブルを確認する(延長ケーブルやハブを使用している場合) USB延長ケーブルやUSBハブを経由して接続している場合、これらが原因で電力不足や信号の減衰が起こり、認識不良を引き起こすことがあります。可能であれば、USBメモリをPCのUSBポートに直接接続してみてください。ケーブルが断線しかかっている可能性も考えられます。
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別のパソコンで試してみる もし可能であれば、別のPCにUSBメモリを接続してみてください。別のPCで正常に認識されれば、元のPCのUSBポート、ドライバ、あるいはOS自体に問題がある可能性が考えられます。逆に、どのPCでも認識しない場合は、USBメモリ本体に問題がある可能性が高まります。
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USBメモリ本体のコネクタ部分の清掃 USBメモリの金属コネクタ部分にホコリや汚れ、酸化膜が付着していると接触不良の原因になります。PCから取り外し、乾いた柔らかい布やエアダスターで優しく清掃してみてください。無水エタノールを少量含ませた綿棒で軽く拭くのも効果的ですが、内部に液体が入らないよう細心の注意が必要です。
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見た目の破損(曲がり、割れ)がないか確認 USBメモリのコネクタ部分が曲がっていたり、ケースが割れていたりしないか確認しましょう。物理的な破損がある場合は、それが原因である可能性が高いです。
これらの初期対処法で解決しない場合は、次のステップに進みます。
【ステップ2】OS標準機能で試す!論理障害へのアプローチ(Windows/Mac)
物理的な接続に問題がない場合、次に考えられるのはOSレベルでの認識不良や、USBメモリのファイルシステムの軽微な論理障害です。OSに標準で搭載されている機能を使って対処を試みましょう。
Windowsの場合
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デバイスマネージャーでUSBコントローラとドライバをチェック
- スタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を選択します。
- 「ユニバーサル シリアル バス コントローラー」の項目を展開します。
- 認識しないUSBメモリに関連する項目(不明なデバイス、!マークや?マークが付いているものなど)があれば、それを右クリックします。
- 「ドライバーの更新」を選択し、自動検索を試します。
- 改善しない場合は、「デバイスのアンインストール」を選択し、アンインストール後にPCを再起動します。再起動時にドライバが自動的に再インストールされます。
- USBメモリを抜き差しして認識されるか確認します。
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「ディスクの管理」で状態を確認
- スタートボタンを右クリックし、「ディスクの管理」を選択します。
- USBメモリが一覧に表示されているか確認します。
- 表示されている場合、状態を確認します。
- ドライブ文字が割り当てられていない: 右クリックして「ドライブ文字とパスの変更」から新しいドライブ文字を割り当ててみてください。
- 「未割り当て」と表示されている: パーティションが失われている可能性があります。データ復旧ソフトが必要になるケースです。
- ファイルシステムが「RAW」と表示されている: ファイルシステムが破損しています。この場合もデータ復旧ソフトでのスキャンが有効です。
- 正常に認識されているように見えてもアクセスできない場合もあります。
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エラーチェックツール(chkdskコマンド)の実行方法と注意点 ファイルシステムの軽微なエラーを修復できる可能性があります。ただし、chkdskの実行はUSBメモリの状態を悪化させるリスクも伴うため、重要なデータがある場合はデータ復旧ソフトを先に試すことを強く推奨します。 どうしても試す場合は自己責任で慎重に行ってください。
- コマンドプロンプトを管理者として実行します(スタートメニューで「cmd」と検索し、右クリックして「管理者として実行」)。
chkdsk ドライブレター: /f
と入力し、Enterキーを押します。(例:USBメモリがEドライブならchkdsk E: /f
)/f
オプションは、ディスクのエラーを修復します。
- より強力なスキャンと修復を試みる場合は、
/r
オプションを使用します (chkdsk ドライブレター: /r
)。これは不良セクタを検出して読み取り可能な情報を回復しようと試みますが、時間がかかります。 - 処理が完了したら、USBメモリにアクセスできるか確認します。
Macの場合
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ディスクユーティリティでUSBメモリの状態を確認
- Finderの「アプリケーション」フォルダから「ユーティリティ」フォルダを開き、「ディスクユーティリティ」を起動します。
- 左側のサイドバーにUSBメモリが表示されているか確認します。
- 表示されていれば選択し、マウント状態やフォーマット形式、容量などを確認します。
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First Aidを実行して軽微なエラーを修復 ディスクユーティリティでUSBメモリを選択した状態で、上部にある「First Aid」ボタンをクリックし、「実行」を選択します。これにより、ファイルシステムの軽微なエラーがチェックされ、修復が試みられます。完了後、USBメモリにアクセスできるか確認します。
これらのOS標準機能で問題が解決しない場合、特に「フォーマットしてください」と表示される場合や、ファイルが見えない場合は、データ復旧ソフトの出番です。
【ステップ3】強力な味方!データ復旧ソフトを使った復活方法
データ復旧ソフトは、ファイルシステムの破損や誤削除など、論理的な障害によって失われたデータをスキャンし、復旧を試みるためのソフトウェアです。多くのソフトがあり、無料版と有料版が存在します。
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データ復旧ソフトとは? USBメモリからファイルが「削除」されたり、ファイルシステムが破損したりしても、実際のデータはすぐに物理的に消去されるわけではありません。多くの場合、データが存在していた領域が「空き領域」としてマークされるだけで、データそのものは残っています。データ復旧ソフトは、これらの残存データをスキャンして見つけ出し、再構築することでファイルを復元します。 重要なのは、新しいデータが上書きされる前に復旧作業を行うことです。上書きされてしまうと、復旧は極めて困難になります。
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復旧ソフトを選ぶ際のポイント
- 対応OS: お使いのPCのOS(Windows, Mac)に対応しているか。
- 対応ファイル形式: 復旧したいファイルの種類(写真、動画、Office文書など)に対応しているか。
- 復旧率: 宣伝文句だけでなく、レビューや評判も参考に。
- 操作性: 初心者でも使いやすいインターフェースか。
- 安全性: ソフト自体にマルウェアが含まれていないか、信頼できる開発元か。
- 無料版の有無と機能制限: まずは無料版でスキャンして復旧可能なファイルがあるか確認できるものがおすすめです。
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おすすめ無料データ復旧ソフト例
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Recuva (Windows向け)
- 特徴: CCleanerで有名なPiriform社が開発。シンプルで使いやすく、誤って削除したファイルやフォーマットされたドライブからの復旧に対応。
- 簡単な使い方:
- Recuvaをダウンロード・インストール。
- ウィザードに従い、ファイルの種類や場所(USBメモリ)を選択。
- スキャンを開始(ディープスキャンも選択可能)。
- 復旧可能なファイル一覧が表示されたら、復旧したいファイルを選択し、必ずUSBメモリ以外の場所に保存。
- 注意点: ディープスキャンは時間がかかります。復旧率はファイルの断片化状況などに左右されます。
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EaseUS Data Recovery Wizard Free (Windows/Mac向け)
- 特徴: 高機能な有料版の無料版。最大2GBまで(特定の条件を満たせば)無料でデータを復旧可能。直感的なインターフェース。
- 簡単な使い方:
- ソフトをダウンロード・インストール。
- 復旧したいドライブ(USBメモリ)を選択してスキャン。
- スキャン結果から復旧したいファイルをプレビューし、選択して必ずUSBメモリ以外の場所に保存。
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おすすめ有料データ復旧ソフト例 無料版で目的のファイルが見つからない場合や、より高度な機能が必要な場合は有料ソフトを検討しましょう。
- EaseUS Data Recovery Wizard Pro (Windows/Mac向け): 無料版の容量制限なし。起動しないPCからの復旧や、RAW状態のドライブからの高度な復旧などに対応。
- Stellar Data Recovery (Windows/Mac向け): 幅広いファイル形式とストレージデバイスに対応。破損した写真や動画の修復機能を持つエディションも。
- ファイナルデータ (Windows向け): 日本国内で長年の実績がある老舗ソフト。日本語サポートも充実。
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データ復旧ソフト使用時の一般的な手順と重要ポイント
- ソフトのダウンロードとインストール: トラブルが発生したUSBメモリには絶対にインストールしないでください。 PCのハードディスクなど、別の場所にインストールします。
- USBメモリをPCに接続: ソフトを起動する前に、対象のUSBメモリをPCに接続します。
- スキャン対象の選択: ソフト上で、スキャン対象としてUSBメモリを指定します。
- スキャン方法の選択:
- クイックスキャン(通常スキャン): 短時間で削除されたファイルなどを検索します。まずはこちらを試しましょう。
- ディープスキャン(詳細スキャン): ドライブ全体をセクタ単位で徹底的にスキャンします。時間がかかりますが、復旧率が高まることがあります。
- スキャン結果の確認とプレビュー: スキャンが完了すると、復旧可能なファイルのリストが表示されます。多くのソフトにはプレビュー機能があり、実際にファイルが正常に復旧できるか確認できます。
- 復旧ファイルの選択と保存: 復旧したいファイルを選択します。
- 【最重要】復旧データの保存先は必ず元のUSBメモリ以外に指定する: これを怠ると、復旧中のデータが上書きされ、完全に失われる可能性があります。PCの内蔵HDDや別の外付けストレージを指定してください。
データ復旧ソフトを使っても全てのデータが完全に元通りになるとは限りません。ファイルの断片化が進んでいたり、一部が上書きされていたりすると、ファイルが破損した状態で復旧されることもあります。
【ステップ4】「フォーマットしてください」エラーへの最終手段
データ復旧ソフトを使って必要なデータを救出した後、それでもUSBメモリを再び使えるようにしたい場合、「フォーマットしてください」というエラーメッセージが表示され続ける場合は、最終手段としてフォーマットを実行します。
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フォーマットとは何か?(初期化のリスクを再認識) フォーマットとは、USBメモリなどの記憶媒体を特定のファイルシステムで初期化し、OSがデータを読み書きできる状態にすることです。フォーマットを実行すると、USBメモリ内のデータは基本的に全て消去されます。 必ずデータ復旧を試みた後、あるいはデータが不要であることを確認してから行ってください。
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フォーマットの種類
- クイックフォーマット: ファイル管理情報のみを初期化するため、短時間で完了します。データそのものは残っているため、専用ソフトを使えば復旧できる可能性がありますが、推奨はされません。
- フルフォーマット(物理フォーマット、Windowsではクイックフォーマットのチェックを外す): ドライブ全体をスキャンして不良セクタをチェックし、全てのデータを完全に消去します。時間はかかりますが、より確実な初期化が可能です。
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Windowsでのフォーマット手順
- エクスプローラーから行う方法:
- エクスプローラーを開き、該当のUSBメモリを右クリック。
- 「フォーマット」を選択。
- ファイルシステム(通常はFAT32、exFAT、またはNTFS。互換性重視ならexFAT推奨)、アロケーションユニットサイズ(通常は標準)、ボリュームラベル(任意)を設定。
- 「クイックフォーマット」のチェックを入れるか外すか選択。
- 「開始」をクリック。
- 「ディスクの管理」から行う方法:
- 「ディスクの管理」を開き、該当のUSBメモリのパーティションを右クリック。
- 「フォーマット」を選択し、同様に設定。
- エクスプローラーから行う方法:
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Macでのフォーマット手順
- ディスクユーティリティを起動。
- 左側のリストからUSBメモリを選択。
- 上部の「消去」ボタンをクリック。
- 名前(任意)とフォーマット(ファイルシステム)を選択します。Windowsとの互換性を持たせるなら「MS-DOS (FAT)」または「ExFAT」を選択。Mac専用なら「Mac OS拡張(ジャーナリング)」など。方式は「GUIDパーティションマップ」が一般的。
- 「消去」をクリック。
フォーマット後、USBメモリが正常に認識され、読み書きできるようになれば、論理障害は解消されたと考えられます。
【ステップ5】自力復旧が困難な場合:物理障害と専門業者への依頼
上記までのステップで解決しない場合、特にUSBメモリが全く認識されない、異音・異臭がする、本体が物理的に破損しているといった場合は、物理障害の可能性が高いです。物理障害の場合、自力でのデータ復旧はほぼ不可能です。
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物理障害とは?
- メモリチップの故障: データを実際に記録しているメモリチップ自体の不具合。
- コントローラチップの故障: メモリチップとPC間のデータ転送を制御するチップの故障。
- 基板の損傷: 回路パターンの断線、はんだ付けの剥離、電子部品の破損など。
- コネクタの物理的破損: USBコネクタ部分の折れ、曲がり、内部ピンの破損。
- 水濡れや過度な静電気によるショートも物理障害を引き起こします。
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物理障害が疑われる症状の見分け方
- PCに接続しても全く反応がない(ランプも点灯しない)。
- 「カチカチ」「ジー」といった異音がする。
- 焦げたような異臭がする。
- USBメモリ本体が異常に発熱する。
- コネクタ部分がグラグラする、折れている、内部のピンが見える。
- 水没させたり、強い衝撃を与えたりした経緯がある。
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なぜ自分で修理できないのか? 物理障害からのデータ復旧には、クリーンルームのような専門設備、顕微鏡下での精密なはんだ付け作業、メモリチップから直接データを読み出すための特殊な装置や高度な解析技術が必要です。これらは一般のユーザーが持ち合わせていないため、無理に分解すると状態を悪化させるだけです。
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データ復旧専門業者を選ぶ際のポイント 大切なデータを預けるわけですから、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。
- 実績と技術力: 公式サイトで復旧率、過去の復旧事例、対応メディアの種類などを確認。特定の種類のUSBメモリ(例:一体型COBタイプなど)の復旧に対応できるか。
- 料金体系の明確さ:
- 初期診断無料か: まずは無料で診断してもらい、復旧の可能性と見積もりを出してくれるか。
- 成功報酬型か: データが復旧できなかった場合に料金が発生しないか。
- 見積もり後の追加料金の有無、キャンセル料なども確認。
- セキュリティ対策: 情報漏洩防止のための設備や体制(ISO27001やプライバシーマーク取得など)が整っているか。
- 納期とサポート体制: 復旧にかかる期間の目安、進捗状況の連絡、問い合わせへの対応など。
- 口コミや評判: 第三者のレビューサイトなども参考に。
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依頼から復旧までの一般的な流れ
- 問い合わせ・相談
- USBメモリの送付または持ち込み
- 初期診断(復旧可能性と見積もりの提示)
- 正式依頼(契約)
- 復旧作業
- 復旧データリストの確認
- 納品(復旧データを別のメディアに保存して返却)と支払い
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費用相場の目安 物理障害のデータ復旧費用は、障害の重篤度、USBメモリの容量、構造(分解の難易度など)によって大きく変動します。一般的に数万円から数十万円かかることも珍しくありません。必ず事前に複数の業者から見積もりを取り、納得した上で依頼しましょう。
トラブルを未然に防ぐ!USBメモリを長持ちさせるための予防策
データ消失という悲劇を繰り返さないためには、日頃からの予防策が非常に重要です。
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「安全な取り外し」を徹底する PCのタスクトレイ(通知領域)にある「ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す」アイコンをクリックし、「(USBメモリ名)の取り出し」を選択してから物理的に抜く習慣をつけましょう。これにより、書き込み処理が完全に終了したことを確認できます。
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定期的なデータバックアップの習慣化 これが最も重要です。 USBメモリはあくまで一時的なデータの持ち運び用と考え、重要なデータは必ずPC本体、外付けHDD、クラウドストレージ(Google Drive, OneDrive, Dropboxなど)など、複数の場所にバックアップを取りましょう。「3-2-1ルール」(3つのコピーを、2種類の異なる媒体に、1つはオフサイトに保管)を意識するとより安全です。
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USBメモリを高温多湿、磁気、衝撃から守る USBメモリは精密機器です。直射日光の当たる場所や車内への放置、水濡れ、強い磁気を発生するものの近く、落下などの衝撃を避け、大切に扱いましょう。キャップ付きのものはキャップをきちんと閉めること。
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粗悪なノーブランド品を避け、信頼性のあるメーカーの製品を選ぶ 極端に安価なUSBメモリは、使用されているメモリチップやコントローラの品質が低い場合があります。信頼できるメーカー(SanDisk, Kingston, KIOXIA(旧東芝メモリ), Transcend, Buffalo, I-O DATAなど)の製品を選びましょう。
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USBメモリを接続したままPCをシャットダウン・再起動しない シャットダウンや再起動のプロセス中にUSBメモリへのアクセスが予期せず中断され、ファイルシステムが破損する可能性があります。
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ウイルス対策ソフトを最新の状態に保つ PCにウイルス対策ソフトを導入し、定義ファイルを常に最新の状態にしておくことで、ウイルス感染によるデータ破損のリスクを低減できます。
まとめ:諦めずに適切な手順を踏めば、USBメモリのデータは復活できる可能性
USBメモリのデータトラブルは誰にでも起こり得る問題ですが、症状を正しく把握し、適切な手順を踏むことで、大切なデータを取り戻せる可能性は十分にあります。
- まずは落ち着いて、NG行動を避ける。
- 物理的な接続を確認する。
- OSの標準機能で軽微なエラーを修復してみる。
- 論理障害にはデータ復旧ソフトを試す(データの保存先は別!)。
- 物理障害が疑われる場合は、無理せず専門業者に相談する。
そして何よりも、日頃からのバックアップと丁寧な取り扱いが、データ消失のリスクを最小限に抑える最も確実な方法です。この記事が、あなたのUSBメモリトラブル解決の一助となれば幸いです。
【Q&A】USBメモリ復活に関するよくある質問
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Q1. フォーマットしてしまった後でもデータは復旧できますか? A1. クイックフォーマットの場合、データ復旧ソフトで復旧できる可能性は残っています。データが実際に上書きされていなければ、見つけ出せる場合があります。しかし、フルフォーマットを実行した場合や、クイックフォーマット後でも新しいデータを大量に書き込んでしまった場合は、復旧は非常に困難になります。早めにデータ復旧ソフトを試すことが重要です。
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Q2. データ復旧ソフトを使ってもファイルが文字化けしている場合は? A2. ファイルの一部が破損しているか、完全に復旧できなかった可能性があります。別の復旧ソフトを試す、ソフトの高度なスキャン機能を使う、または復旧したファイルの修復機能(ソフトによっては搭載)を試すなどの方法があります。ただし、完全に元通りになるとは限りません。
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Q3. USBメモリの寿命はどのくらいですか? A3. USBメモリに使用されているNANDフラッシュメモリには書き込み回数の上限があります。一般的には数千回から数万回程度と言われていますが、使用頻度や製品の品質、扱い方によって大きく変わります。明確な寿命年数はありませんが、重要なデータの長期保存には不向きと考え、定期的な買い替えやバックアップを推奨します。
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Q4. 水濡れしてしまったUSBメモリはどうすればいいですか? A4. 絶対にすぐにPCに接続しないでください。 ショートして完全に故障する可能性があります。まず、乾いたタオルで表面の水分をよく拭き取ります。その後、風通しの良い場所で数日間十分に自然乾燥させるか、シリカゲルなどの乾燥剤と一緒に密閉容器に入れて乾燥させます。完全に乾いたと思っても、内部に水分が残っていると危険なので、自信がない場合は専門業者に相談するのが賢明です。
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Q5. スマートフォンやタブレットでUSBメモリが認識しない場合は? A5. いくつか原因が考えられます。 * フォーマット形式: スマートフォンやタブレットが対応していないファイルシステム(例: NTFS)でフォーマットされている可能性があります。FAT32やexFATでフォーマットし直すと認識することがあります(データは消えます)。 * OTG機能: スマートフォンやタブレットがUSB On-The-Go (OTG)機能に対応している必要があります。また、OTGアダプタやケーブルが必要な場合があります。 * 電力不足: バスパワー型のUSBメモリの場合、スマートフォンからの電力供給が不足している可能性があります。 * 互換性: 単純にデバイスとの相性が悪い場合もあります。