【徹底解説】データ復旧の料金相場はいくら?失敗しない費用と業者選びの全知識

1. はじめに:突然のデータ消失…費用はいくら?

ある日突然、PCが起動しない、外付けHDDを認識しない、スマホの写真が見られない…。これまで当たり前に使っていた機器から大切なデータが消えてしまったとき、誰もがパニックに陥るでしょう。仕事の重要書類、かけがえのない家族の写真、趣味で集めたコレクションデータなど、その価値は計り知れません。

そして、その次に頭をよぎるのが「このデータ、なんとかなるのか?」「専門業者に頼むと、一体いくらかかるのだろう?」という疑問と不安ではないでしょうか。多くの方が「データ復旧 料金 相場」というキーワードで検索し、少しでも費用について知りたいと考えているはずです。

データ復旧サービスは、一般の方にとって馴染みが薄く、料金体系も複雑に感じられることが多いです。「高額な請求をされるのでは?」「そもそも、どれくらいが適正な価格なの?」といった疑問を抱えるのは当然です。

この記事では、あなたのそんな疑問や不安を解消するために、データ復旧にかかる費用の仕組み、料金の相場感、そして最も重要な「失敗しない業者選び」のポイントを徹底的に解説します。最後まで読んでいただければ、データ復旧の費用について正しく理解し、大切なデータを救出するための第一歩を踏み出せるはずです。

2. データ復旧に「定価」がない理由

家電製品のように「このHDDの復旧は一律〇円です」といった定価や決まった料金表がないのはなぜでしょうか?それは、データ復旧というサービスが、一つとして同じ状況がない、非常に個別性の高い作業だからです。

データ障害のタイプは千差万別

データが読み取れなくなる原因は多岐にわたります。誤ってファイルを削除してしまった、間違ってフォーマットしてしまった、という人為的なミスから、HDDから異音がする、PCから煙が出た、水没させてしまったといった物理的な故障まで、原因は様々です。これらの障害のタイプや深刻さは、機器の種類や使用状況によって全く異なります。

使用する技術や設備が異なるため

障害の種類やレベルによって、データを復旧するために必要な技術、専門知識、設備が全く異なります。ソフトウェアで対応できる軽微な論理障害もあれば、HDDを開封して部品を交換する必要がある重度な物理障害もあります。後者の場合、ホコリ一つないクリーンルームという特殊な環境での作業が必須となります。

復旧の難易度によって工数が大きく変わる

データ障害の原因が複雑であればあるほど、復旧にかかる時間やエンジニアの高度な技術が必要になります。まるで病気の治療費が、風邪と手術が必要な病気で大きく違うのと同じように、データ復旧費用もその難易度によって大きく変動するため、「定価」を定めることができないのです。

3. データ復旧の料金を決める最重要要因:障害のレベル

データ復旧費用を決定する上で最も重要な要素は、機器がどのような種類の「障害」を抱えているか、そしてその障害がどれくらい「重度」であるか、です。障害は大きく「論理障害」と「物理障害」に分けられます。

論理障害(軽度~重度)

論理障害とは、記録媒体のハードウェア自体には物理的な損傷がなく、データやファイルシステム、OSなどに問題が発生している状態を指します。いわば「ソフトウェア的な故障」です。

  • 概要: ファイルシステム情報の破損、OSのシステムファイルの破損、データの誤削除やフォーマットなど、ソフトウェアや操作ミスに起因する問題。
  • 軽度論理障害の例:
    • ゴミ箱から完全に削除してしまったファイル
    • クイックフォーマットしてしまった
    • OSが起動しない(システムファイル破損など)
    • 特定のファイルが開けない
    • パーティションが見えなくなった(軽度なもの) これらの場合、データそのものは記録媒体上に残っていることが多く、専用の復旧ソフトウェアや比較的簡易なツールで対応できる場合があります。
  • 重度論理障害の例:
    • 完全フォーマット(物理フォーマット)してしまった
    • パーティション情報が大きく破損・消失した
    • ファイルシステム構造が複雑に壊れてしまった
    • 複数の論理的な問題が複合している この場合、単なるソフトウェアでは対応が難しく、より高度な解析技術や専門ツール、エンジニアの知識が必要になります。
  • 論理障害の料金相場感: 軽度であれば数万円~10万円程度で済むケースが多いですが、重度になると解析に時間がかかり、10万円~30万円程度まで費用が上がることもあります。
物理障害(軽度~重度)

物理障害とは、HDDの磁気ヘッドやプラッタ、SSDのNANDフラッシュメモリやコントローラー、USBメモリのコネクタなど、記録媒体のハードウェア自体が物理的に破損している状態を指します。いわば「ハードウェア的な故障」です。

  • 概要: 落下、水没、衝撃、経年劣化による部品の故障、異音の発生、認識しないなど、機器本体の物理的な問題。
  • 軽度物理障害の例:
    • 読み書きエラーが発生する不良セクタが軽微にある
    • ファームウェア(記録媒体を制御するプログラム)の一時的な不具合
    • コネクタ部分の接触不良や軽微な破損 物理的に部品が損傷しているわけではないが、動作が不安定な状態です。専用ツールでファームウェアの修復を試みたり、不良セクタを回避しながら読み込みを行ったりします。
  • 重度物理障害の例:
    • HDDから「カチカチ」「カリカリ」といった異音がする(ヘッドクラッシュの可能性大)
    • HDDのモーターが回転しない
    • 記録面(プラッタ)に傷がついている
    • SSDのコントローラーチップが焼けている、物理的に破損している
    • USBメモリ/SDカードが折れた、水没した、認識しない これらの場合、部品交換や高度な物理的な修復作業が必要です。特にHDDの内部部品(ヘッド、プラッタなど)に異常がある場合は、ホコリやチリが一切ない「クリーンルーム」という特殊な環境で分解・作業を行う必要があり、非常に高い技術と設備、時間が必要となります。
  • 物理障害の料金相場感: 軽度であっても、専門的なツールや技術が必要なため、10万円~30万円程度からとなることが多いです。重度物理障害、特にクリーンルーム作業が必要な場合は、費用が大幅に跳ね上がり、30万円~80万円以上、状況によっては100万円を超えることも珍しくありません。物理障害の復旧は、データ復旧の中で最も費用が高くなるケースです。

4. 料金に影響するその他の要因

障害レベルが最も重要ですが、他にもいくつか費用に影響を与える要因があります。

  • 記録媒体の種類:
    • HDD: 最も一般的な媒体であり、多くの業者が対応しています。障害レベルによって費用が変動しやすいです。
    • SSD: HDDとは記録方式や構造が大きく異なり、より高度な技術や専用ツールが必要です。一般的にHDDよりも復旧費用は高くなる傾向があります。特にコントローラーの物理破損などは難易度が高いです。
    • USBメモリ、SDカード: 小さい媒体ですが、内部のチップに直接アクセスする「チップオフ」という高度な技術が必要になる場合があり、障害によってはSSDと同様に高額になることがあります。
    • NAS/RAID: 複数のHDDやSSDを組み合わせて構築されているため、個々のドライブだけでなく、RAID構成情報の解析や再構築が必要になります。非常に複雑で専門性が高いため、最も高額になる媒体の一つです。物理障害が複数台で発生している場合はさらに費用が上がります。
  • 容量: 記録媒体の容量自体が直接的に費用に大きく影響することは少ないですが、容量が大きいほどデータの物理的な配置場所が広くなるため、読み込みに時間がかかったり、不良セクタの影響を受けやすくなったりすることはあります。
  • 緊急度: 「明日までにデータが必要!」といった特急対応を依頼する場合、通常の復旧作業よりも優先して対応してもらえる代わりに、追加料金が発生することが一般的です。
  • 復旧対象データ: 「特定のフォルダにある写真だけ」「〇〇というファイルだけ」など、復旧したいデータが明確で限定されている場合、全体を復旧するよりも費用が抑えられる可能性はありますが、多くの場合は媒体全体を復旧する作業費用に含まれることが多いです。

5. データ復旧料金の一般的な「相場」目安

ここまで解説したように、データ復旧の費用は様々な要因で変動するため、「〇〇円です」と断言することはできません。しかし、一般的な障害レベルに応じたおおよその「相場」を示すことは可能です。

【データ復旧 料金 相場目安】

  • 論理障害(軽度): 数万円~10万円程度
    • 誤削除、フォーマット(クイック)、OS起動障害(軽度)、ファイルが開けないなど
  • 論理障害(重度): 10万円~30万円程度
    • 完全フォーマット、複雑なパーティション破損、ファイルシステム大規模破損など
  • 物理障害(軽度): 10万円~30万円程度
    • 軽微な不良セクタ、ファームウェアの一時的不具合、軽微なコネクタ破損など
  • 物理障害(重度): 30万円~80万円以上
    • ヘッドクラッシュによる異音、モーター故障、メディア損傷、広範囲な不良セクタなど、クリーンルームでの開封作業が必要なケース

(注) 上記の金額はあくまで多くのデータ復旧業者の提示する料金を基にした「目安」です。記録媒体の種類(NAS/RAIDはさらに高額)、容量、緊急度、業者ごとの料金設定によって大きく変動します。正確な費用は、専門業者による診断後に提示される見積もりで確認する必要があります。

この相場感を頭に入れておくことで、提示された見積もり額が適正かどうかを判断する一つの材料にできます。極端に安すぎる、あるいは高すぎる業者には注意が必要かもしれません。

6. データ復旧業者の料金体系を理解する

データ復旧業者の料金体系も、いくつかのパターンがあります。契約する前に、どのような場合に、いくらの費用が発生するのかをしっかり理解しておくことが重要です。

  • 成功報酬型: 最も多くの業者が採用している料金体系で、「データの復旧に成功した場合にのみ費用が発生する」というものです。ユーザーにとっては、データが戻ってこなかったのに高額な費用を支払うリスクがないというメリットがあります。 【注意点】 ただし、「成功」の定義は業者によって異なります。「依頼者が希望するデータの一部でも復旧できたら成功」とする業者もあれば、「リストアップした重要データが〇〇%以上復旧できたら成功」とする業者もあります。契約前に「何をもって成功とするのか」を明確に確認しましょう。また、成功報酬型でも、診断料や作業着手金、キャンセル料が別途かかる場合があります。
  • 固定料金型: 障害の種類や媒体の種類によって、あらかじめ費用が決まっている料金体系です。比較的軽度な論理障害などで採用されることがあります。見積もり段階で総額が把握しやすいというメリットがありますが、想定より障害が重かった場合でも料金が変わらないのかなど、詳細は確認が必要です。
  • 診断料・作業費・部品代: 料金体系とは別に、以下の費用が発生する場合があります。
    • 診断料: 機器の状態を診断し、復旧の可否や見積もりを出すためにかかる費用。無料の業者と有料の業者があります。有料の場合は数千円~数万円程度。
    • 作業費: 復旧作業そのものにかかる費用。成功報酬に含まれる場合と、別途請求される場合があります。
    • 部品代: 物理障害で部品交換が必要な場合にかかる費用。ドナーとなる同型機の購入費用など。物理障害の場合、この部品代が別途請求されることがほとんどです。
    • キャンセル料: 診断結果や見積もりを見て、復旧を依頼しない場合に発生する費用。無料の業者も多いですが、有料の場合もあります。 これらの隠れた費用がないか、見積もりや契約書を隅々まで確認することが大切です。

7. 「データ復旧 料金 相場」で失敗しない業者選びのポイント

適正な料金でデータ復旧を成功させるためには、信頼できる業者を選ぶことが何よりも重要です。料金相場を理解した上で、以下のポイントに注目して業者を選びましょう。

  • ポイント1:無料診断・無料見積もりがあるか確認する データ復旧費用は診断なくして正確には分かりません。まずは無料診断で障害レベルを判定してもらい、その上で無料の見積もりを提示してくれる業者を選びましょう。これにより、費用に納得した上で次に進むことができます。
  • ポイント2:料金体系が明確であるか、説明をしっかり聞く ウェブサイトに料金表が明記されているか、見積もり内容が分かりやすいかを確認しましょう。不明な点があれば遠慮なく質問し、納得できるまで説明を受けてください。「一律〇円」と謳っていても、後から追加費用が発生するケースもあります。内訳をしっかり確認しましょう。
  • ポイント3:「成功報酬」の定義を確認する(何をもって成功とするか) 多くの業者が「成功報酬」を謳っていますが、その定義は様々です。一部のデータでも復旧できれば成功なのか、希望する重要データが復旧できた場合のみ成功なのかなど、契約前に確認し、可能であれば書面で残しておきましょう。
  • ポイント4:復旧実績と信頼性(プライバシーマーク、セキュリティ体制など) 過去の復旧実績が豊富か、利用者の評判はどうか(口コミサイトなども参考に)。また、預けるデータは非常に機密性が高いため、情報セキュリティ体制がしっかりしているか(プライバシーマーク取得、ISMS認証など)も重要な判断基準です。
  • ポイント5:物理障害の場合、クリーンルームなど専門設備があるか 物理障害の場合、クリーンルームなどの特殊な設備がない業者では、まともな復旧作業はできません。自社でクリーンルームを所有しているか、提携しているかなどを確認しましょう。ウェブサイトに設備の紹介があるかなども参考になります。
  • ポイント6:複数の業者から見積もりを取って比較する 最低でも2~3社から見積もりを取り、料金、復旧内容、サービス内容、納期などを比較検討しましょう。安さだけで決めず、信頼性や実績も考慮して総合的に判断することが大切です。

8. データ消失直後に「絶対やってはいけないこと」と「やるべきこと」

データが消えたことに気づいたら、焦る気持ちはわかりますが、間違った行動は復旧をより困難に、あるいは不可能にしてしまうことがあります。以下の点に注意してください。

  • 絶対やってはいけないこと:
    • 通電し続ける、何度も起動を試みる: 物理障害の場合、通電し続けることで状態が悪化したり、記録面に傷がついたりする可能性があります。特に異音がしている場合は絶対にやめましょう。
    • 安易に復旧ソフトを使う: 論理障害であれば有効な場合もありますが、物理障害の場合は状態を悪化させるリスクが非常に高いです。また、誤った操作でデータを上書きしてしまう可能性もあります。自信がない場合は手を出さないのが賢明です。
    • 自分で分解する: 記録媒体は非常に精密な機器です。専門知識や設備がないまま分解すると、取り返しのつかない損傷を与えてしまいます。
    • 電源のON/OFFを繰り返す: 特にHDDは、起動時にヘッドが移動するため、物理的な問題を抱えている場合は致命的なダメージを与える可能性があります。
  • やるべきこと:
    • 機器の使用を停止する: パソコンであればシャットダウンする、外付けHDDであればケーブルを抜くなど、それ以上のデータの書き込みや読み込みが行われないようにします。
    • 通電を止める: 電源を切り、ケーブル類も抜いておきます。
    • 障害時の状況を正確に記録する: いつ、どのような状況で、どのようなエラーメッセージが出たかなど、覚えている範囲でメモしておくと、業者に状況を伝える際に役立ちます。
    • 専門業者に相談する: 自己判断で誤った操作をする前に、データ復旧の専門業者に連絡し、状況を説明して指示を仰ぎましょう。多くの業者は電話やメールでの無料相談を受け付けています。

9. まとめ:まずはプロの診断を!適正な料金で大切なデータを救出しよう

データ復旧の費用は、障害のレベル、記録媒体の種類、復旧を依頼する業者など、様々な要因で大きく変動するため、「データ復旧 料金 相場」を一概に示すのは困難です。しかし、この記事で解説したように、論理障害か物理障害か、その重度はどれくらいかによって、おおよその費用感は把握できます。

大切なデータを救出するためには、

  1. データ消失の原因と機器の状態を正確に把握する。
  2. 相場感を理解した上で、信頼できるデータ復旧業者をいくつかピックアップする。
  3. 無料診断・無料見積もりを活用し、複数の業者から詳細な見積もりを取り比較検討する。
  4. 料金体系や成功報酬の定義、キャンセル規定などをしっかりと確認する。
  5. 費用だけでなく、復旧実績、セキュリティ体制、専門設備なども考慮して総合的に判断し、依頼する業者を決定する。
  6. 決して自己判断で無理な操作はしない。

これらのステップを踏むことが重要です。

突然のデータ消失は非常につらい状況ですが、焦らず、正しい知識を持って適切な対応をすることで、大切なデータを取り戻せる可能性は高まります。まずは、信頼できるデータ復旧の専門業者に相談し、あなたの機器がどのような状況にあるのか、プロの診断を受けてみましょう。それが、適正な料金で大切なデータを救出するための第一歩となります。